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事業承継は何年前から準備?スケジュール作成の流れとポイントを解説 | 千葉かつこ税理士事務所|埼玉県の会計・税務申告・リスクマネジメント業務
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事業承継は何年前から準備?スケジュール作成の流れとポイントを解説

事業承継は何年前から準備?スケジュール作成の流れとポイントを解説

事業承継は、創業者が人生をかけて築き上げた会社を次世代へと引き継ぎ、その存続と発展を託す、経営者にとって最後の、そして最も重要な仕事です。円滑な承継を実現するためには、明確なビジョンと、それを実現するための具体的なスケジュールが不可欠です。
しかし、多くの経営者は、いつから準備を始め、どのような手順で進めるべきか、頭を悩ませているのではないでしょうか。
今回は、事業承継のスケジュール作成に焦点を当て、具体的な準備期間の目安や、計画策定に必要な情報について詳しく解説します。

事業承継はいつから始めるべきか

事業承継の準備開始時期は、会社の状況や後継者の有無によって異なりますが、全てのケースに共通して言えることは、「早すぎることはない」ということです。
一般的には、承継の目標時期から逆算して、少なくとも5年から10年単位の長期的な視点で準備を始めることが理想とされています。

事業規模や業種によって異なる

中小企業の場合、比較的シンプルな組織構造のため、大企業に比べて準備期間が短くなる傾向はあります。
しかし、業種によっては、特殊な技術の伝承や許認可の引き継ぎに長期間を要する場合があります。
例えば、医療法人や建設業、製造業など、特定の資格や認可、あるいは属人的な技術やノウハウが事業の中核となっている場合は、後継者への引き継ぎに時間がかかるため、さらに早い段階からの準備が求められます。

後継者育成は5年以上前から始めるのが理想

後継者育成は、事業承継の成否を分ける最も重要な要素です。
後継者が経営者として必要なスキル、経験、そして最も重要な「帝王学」とも言える経営者としての覚悟を身につけるには、最低でも5年、理想を言えば10年程度の期間が必要です。
具体的な育成計画を立て、営業、製造、財務、人事といった各部門をジョブローテーションで経験させたり、部門責任者として損益責任を負わせたりするなど、体系的かつ実践的な経験を積ませる必要があります。

株式対策は3~5年前から検討開始

事業承継において、自社株式の移転は非常に重要かつ複雑な課題です。
自社株の評価額算定、相続税や贈与税の納税資金対策などを考慮し、税理士などの専門家と相談しながら、3~5年前から具体的な検討を開始することが望ましいです。
どのタイミングで、どのような方法(生前贈与、売買など)で株式を移転させるか、事業承継税制などの優遇税制を活用できるかなど、最適な移転方法を計画的に決定する必要があります。

事業承継全体スケジュールは3年前から作成開始

後継者育成や株式対策と並行し、事業承継の全体像をまとめたスケジュールは、少なくとも承継の3年前までには作成を開始しましょう。
事業承継には、法務、税務、労務など様々な手続きが絡み合うため、余裕を持ったスケジュールを立てることが、想定外のトラブルを防ぐ鍵となります。

事業承承継のスケジュール作成に必要な情報は?

経営状況の棚卸し

まずは、会社の「健康診断」とも言える経営状況の棚卸しが必要です。
過去数年分の財務諸表の分析はもちろん、顧客リスト、従業員の年齢構成やスキル、保有する許認可、そして特許やノウハウといった目に見えない知的資産まで、事業の強みや弱みを徹底的に「見える化」します。
この客観的な情報が、精度の高い事業承継計画の土台となります。

後継者の選定と育成状況

後継者は、事業承継の成功を左右する最重要人物です。
親族、役員・従業員、あるいは社外から招聘するのか、まずは後継者候補を定め、その能力、意欲、経営者としての資質を客観的に評価します。
育成状況を定期的に確認し、不足しているスキルがあれば、外部研修への参加など追加の育成プログラムを実施する必要があります。

関係者(従業員取引先金融機関)の理解

事業承継は、経営者と後継者だけの問題ではなく、従業員、主要な取引先、金融機関など、多くの関係者に影響を及ぼします。
これらのステークホルダーが誰で、それぞれが何を懸念しているかを把握し、どのタイミングで、どのように説明し理解を得ていくか、事前のコミュニケーション計画が円滑な承継を進める上で非常に重要です。

税理士弁護士等専門家との連携

事業承継には、税務、法務、財務など、高度で専門的な知識が不可欠です。
早い段階から、自社の状況を理解してくれる税理士、弁護士、公認会計士、中小企業診断士といった専門家と連携し、「専門家チーム」を組成することが成功の鍵です。
適切なアドバイスを受けることで、リスクを最小化し、承継の成功率を高めることができます。

事業承継のスケジュールの大まかな流れは?

準備期間(承継の3~5年前)

まず、事業の現状分析と経営課題の洗い出しを行います。
後継者候補を正式に決定し、具体的な育成計画をスタートさせます。
自社株の評価を行い、株式移転の基本方針(贈与、売買など)や納税資金対策の検討を開始します。
この段階で、事業承継計画の骨子を作成します。

実行期間(承継の1~3年前)

準備期間に策定した事業承継計画書を、より詳細なものにブラッシュアップします。
計画に基づき、株式や個人保有の事業用資産の段階的な移転を開始します。
後継者を役員に就任させるなど、経営への関与を深め、段階的に権限移譲を進めます。
主要な従業員や金融機関など、キーパーソンへの内々の説明を開始します。

最終承継・引継ぎ期間(承継の年)

株主総会や取締役会での決議を経て、代表取締役を後継者に交代し、法務局で役員変更登記を行います。
従業員、取引先、金融機関など、全ての関係者に対して新体制を公式に発表し、挨拶回りを行います。
先代経営者は会長職に就くなど、一定期間は後継者の伴走支援を行い、経営の完全な引継ぎを目指します。

円滑な事業承継を進めるためのポイント

スムーズな事業承継を実現するための重要なポイントを改めて整理します。

早期準備と計画的な実行

事業承継は、思い立ってすぐにできるものではありません。
長期的な視点で早期に準備を開始し、綿密な計画を立て、それを着実に実行していくことが成功の絶対条件です。
計画は定期的に進捗を確認し、状況の変化に応じて柔軟に見直すことが重要です。

専門家との連携

事業承継を経営者一人で抱え込むのは非常に危険です。
信頼できる専門家の協力を得ることで、法務・税務上のリスクを回避し、精神的な負担も軽減できます。
専門家への費用は、承継の失敗による損失を考えれば、むしろ安価な投資と言えます。

後継者への権限移譲と育成

後継者の育成と並行し、段階的に権限を移譲することが重要です。
そして、ある段階からは先代経営者が「任せて見守る」姿勢を持つことが、後継者が真の経営者として自立するために不可欠です。

関係者とのコミュニケーション

事業承継に関する情報が不足すると、従業員や取引先は不安を抱き、組織の動揺や取引の縮小に繋がりかねません。
適切なタイミングで丁寧な情報共有を行い、関係者の不安や懸念を解消することで、新体制への理解と協力を得ることが重要です。

まとめ

事業承継の成功は、早期の準備と計画的な実行にかかっています。
最適なスケジュールは会社の状況によって異なりますが、少なくとも5年、できれば10年前から後継者育成を意識し始め、3年前までには具体的なスケジュールを作成し、専門家と連携しながら進めることが重要です。
後継者育成、株式対策、関係者への丁寧な説明といった各段階での準備を一つ一つ着実に行い、会社の未来を確かなものにする円滑な事業承継を実現しましょう。

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