メール CONTACT
TEL TEL
LINE LINE
未来会計とは?メリット・デメリットから具体的な方法まで解説 | 千葉かつこ税理士事務所|埼玉県の会計・税務申告・リスクマネジメント業務
電話番号 0493-53-4662

営業時間|8:30〜17:30 土日祝休

メール お問い合わせ
閉じる
  • 会計について

未来会計とは?メリット・デメリットから具体的な方法まで解説

未来会計とは?メリット・デメリットから具体的な方法まで解説

VUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)の時代と呼ばれる現代において、過去の成功体験の延長線上に未来を描くことは極めて困難になっています。将来の経営をより的確に予測し、戦略的に事業を進めていきたいと考えている経営者の方々にとって、未来会計は非常に有効なツールとなるでしょう。
従来の会計が過去の走行記録を示す「バックミラー」だとすれば、未来会計は目的地までの最適なルートや到着時間を予測し、渋滞などのリスクを回避するための「カーナビ」に例えられます。

今回は、未来会計の概要、従来会計との違い、導入メリット・デメリット、そして具体的な実践方法について詳しく解説します。

未来会計の導入メリット

先を見据えた経営判断が可能になる

未来会計は、過去の取引データという実績値だけでなく、将来の市場動向や自社の行動計画を織り込んだ予測データも活用して経営判断を行う会計手法です。
そのため、市場トレンドの変化や競合他社の動向、新たな技術の出現といった様々な外部・内部要因を考慮した上で、より精度の高い中期経営計画や単年度予算を策定することが可能になります。
例えば、新規事業への投資判断や不採算事業からの撤退判断といった、企業の将来を大きく左右する意思決定において、過去のデータだけに頼った判断では見過ごしてしまうような潜在的なリスクや新たな事業機会を早期に発見し、迅速に対応できるようになるため、より的確な経営判断へと繋がります。

リスク対応力を高められる

未来会計では、将来起こりうる複数のシナリオを想定したシミュレーションを行うことで、潜在的なリスクを事前に特定し、その備えをすることができます。
一般的には、「最善シナリオ(Best Case)」「標準シナリオ(Normal Case)」「最悪シナリオ(Worst Case)」といった複数のシナリオを設定します。例えば、原材料価格の高騰や急激な為替レートの変動、主要顧客からの売上減少といったリスク要因が、自社の利益やキャッシュフローにどの程度の影響を与えるかを数値で予測します。

これにより、リスクの発生に備えて、事前に金融機関と融資枠を設定しておく、代替の仕入先を開拓しておくといった具体的な対策を講じることができ、不確実性の高い経営環境下でも安定した成長を目指すことが可能になります。

企業価値向上に繋がる

未来会計によって策定された、蓋然性の高い事業計画は、企業の将来的な収益力や成長性を客観的に示すものとなり、結果として企業価値の向上に繋がります。
投資家や金融機関は、融資や投資の判断を行う際に、企業の過去の実績だけでなく、将来の成長可能性を厳しく評価します。未来会計に基づいた説得力のある事業計画は、企業の投資価値を高め、資金調達を有利に進めるための強力な武器となります。
また、会社の目指す方向性が具体的な数値目標として従業員に共有されることで、組織全体のモチベーション向上や、各部門が自律的に動く組織風土の醸成にも貢献します。

従来会計との違いは?

従来会計は過去の取引記録未来会計は将来予測

従来の会計(財務会計)は、法律や会計基準に基づき、過去に発生した取引を正確に記録し、その結果を貸借対照表や損益計算書といった財務諸表にまとめて、株主や債権者、税務署などの外部利害関係者に報告することを主な目的としています。
一方、未来会計(管理会計)は、社内の経営者が将来の意思決定を行うために、将来の売上や費用、利益などを予測し、その予測に基づいて将来の経営状況を分析する手法です。
報告先に決まったルールはなく、完全に社内向けのツールです。

従来会計は確定数値未来会計は予測値

従来会計で扱う数値は、領収書や契約書といった客観的な証拠に基づいて確定した「過去の実績値」です。
これに対し、未来会計で扱う数値は、様々な仮説や前提条件に基づいて算出された「将来の予測値」であり、一つの正解があるわけではありません。
未来会計で重要なのは、予測が当たったか外れたかの一喜一憂ではなく、「なぜ予測と実績に差異が生まれたのか(予実差異分析)」を徹底的に分析し、その学びを次の予測精度向上や経営アクションの改善に繋げていくサイクルを回すことです。

従来会計は現状把握未来会計は将来の意思決定

従来会計は、過去から現在までの取引を集計・分析することで、企業の財政状態や経営成績といった「現状」を正確に把握することを目的としています(過去志向)。
一方、未来会計は、将来の予測に基づいて、設備投資を行うべきか、新製品を開発すべきかといった「未来の行動」を決定することを目的としています(未来志向)。
つまり、従来会計が企業の過去を評価するためのツールであるのに対し、未来会計は企業の未来を創造するためのツールであると言えるでしょう。

未来会計のデメリット

予測精度が低い場合誤った意思決定につながる可能性

未来会計は将来の予測に基づいて経営判断を行うため、その予測の前提となる情報や仮説が誤っていた場合、経営判断を誤るリスクがあります。
予測精度を高めるためには、過去のデータ分析に加え、営業担当者の販売見込みといった現場の肌感覚や、外部機関が発表する経済見通しなどの客観的なデータを組み合わせる努力が不可欠です。
また、大規模な自然災害やパンデミックのように、予測が極めて困難な要因も存在するため、未来会計は万能ではないという限界も認識しておく必要があります。

導入運用に専門知識やコストが必要となる場合

精度の高い未来会計を導入・運用するには、財務モデリングや統計学的な知識、業界動向に関する深い知見など、高度な専門知識が必要となる場合があります。
そのため、専門の部署や担当者を配置できない中小企業などでは、導入のハードルが高いと感じるケースもあります。
また、高度な分析を行うための専用ソフトウェアの導入や、外部コンサルタントへの依頼には、相応のコストがかかることも考慮しなければなりません。

未来会計の具体的な方法

キャッシュフロー予測に基づいた経営計画策定

「勘定合って銭足らず」という言葉があるように、利益が出ていても手元の資金が尽きれば会社は倒産(黒字倒産)してしまいます。未来会計において最も重要な要素の一つが、このキャッシュフロー予測です。
月次の資金繰り表を作成し、将来の入金と出金を予測することで、資金が不足するタイミングを事前に把握し、融資の準備など先手を打つことが可能になります。

バランススコアカードを用いた戦略策定

バランススコアカードは、企業の戦略を「財務」「顧客」「内部業務プロセス」「学習と成長」という4つの視点から多角的に捉え、それぞれの因果関係を明確にするフレームワークです。
「従業員のスキルが向上し(学習と成長)、業務プロセスが効率化され(内部業務プロセス)、顧客満足度が上がり(顧客)、その結果として売上・利益が向上する(財務)」というストーリーを描き、戦略を具体的なアクションプランに落とし込みます。

KPI設定による進捗管理

KPI(重要業績評価指標)とは、経営計画の達成度合いを測るための具体的な指標です。
上記の4つの視点それぞれに、「売上高成長率(財務)」「顧客リピート率(顧客)」「不良品率(内部業務プロセス)」「従業員定着率(学習と成長)」といったKPIを設定します。
このKPIの進捗状況を毎月管理することで、計画が順調に進んでいるか、あるいはどこに問題があって修正が必要かを客観的に判断することができます。

シミュレーションによるリスク分析

様々なシナリオを想定したシミュレーションを行うことで、潜在的なリスクを事前に把握し、対策を講じることができます。
例えば「感度分析」という手法では、売上や原価、為替レートといった特定の変数が10%変化した場合に、利益やキャッシュフローがどの程度変動するかを分析し、自社の経営がどの要素に最も影響されやすいか(経営上の弱点)を特定します。

まとめ

今回は、未来会計の概要、従来会計との違い、導入メリット・デメリット、そして具体的な方法について解説しました。
未来会計は、将来を正確に当てるための「占い」ではなく、予測と実績の差異から学び、経営のアクションを改善していくための「羅針盤」です。
予測の精度や導入コストといったデメリットも存在しますが、Excelなどで作成する簡単な資金繰り表からでも始めることができます。
特に経営資源が限られる中小企業こそ、未来会計の考え方を取り入れ、限られたリソースをどこに集中投下すべきかを見極めることが、持続的な成長を実現する上で不可欠と言えるでしょう。

CONTACT

税務、事業承継、ご融資など、会計については、
こちらからお問い合わせください。

お電話・メールフォームにてお問い合わせを受け付けております。

メール