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銀行融資受けやすい決算書の作り方と成功のポイント | 千葉かつこ税理士事務所
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銀行融資受けやすい決算書の作り方と成功のポイント

銀行融資受けやすい決算書の作り方と成功のポイント

銀行からの融資を受ける際には、決算書が審査プロセスにおいて極めて重要な役割を果たします。
決算書は、企業の財務状態や経営の効率性、事業の持続可能性など、さまざまな角度から企業の健全性を数値として表す客観的な資料です。
銀行などの金融機関は、この文書を通じて貸付リスクを評価し、融資の可否を判断します。
多くの経営者が、いかにして決算書の内容を戦略的に整備し、融資の承認を得やすくするかに注目しています。
本記事では、決算書を銀行融資の審査に有利に働かせるための具体的な戦略や注意点について、実務的な視点から詳しく解説します。

決算書で銀行融資が受けやすくなるポイント

資産と負債のバランスを最適化する

銀行が融資を検討する際、まず注目するのが企業のバランスシート(貸借対照表)です。
資産と負債の比率は、企業の財務体質を示す指標であり、自己資本比率や負債比率などが融資判断に直結します。
資産よりも負債が多い状態は、返済能力に不安があるとみなされ、融資審査では不利になることがあります。
そのため、短期的にも長期的にも負債の圧縮と資産の効率的な構成が求められます。
具体的には、棚卸資産(在庫)を過剰に抱えず適正水準を維持する、売掛金の回収サイトを短縮する、遊休資産を処分して流動性を高めるなど、日々の経営判断が重要となります。
また、リース活用による固定資産の圧縮や、無借金経営へのシフトも長期的には好影響をもたらします。

収益性指標を強化する方法

収益性の高い企業は、銀行にとって貸し倒れリスクの少ない魅力的な融資先と映ります。
決算書では、売上総利益率(粗利率)、営業利益率、経常利益率などの指標を通じて、企業の利益構造が分析されます。
これらの数値を改善するには、コスト構造の見直しが欠かせません。
たとえば、仕入先の見直しによる原価削減、業務プロセスの効率化による人件費削減、ITシステム導入による間接費の圧縮など、さまざまな施策があります。
また、価格戦略の見直しによって粗利益率を改善したり、高付加価値商品を開発して単価を上げるといった取り組みも有効です。
さらに、既存市場の深耕だけでなく、新市場の開拓や海外展開、オンライン販売など多角的な売上拡大戦略も収益性向上に寄与します。

キャッシュフローの正確な記載

キャッシュフロー計算書は、企業が利益を現金化できているか、資金繰りが安定しているかを判断するための重要な資料です。
特に営業活動によるキャッシュフローがプラスであるかどうかは、企業の本業が健全に機能しているかを測る有力な指標となります。
キャッシュフローが正確に記載されていなければ、銀行は企業の資金繰りを正しく評価できず、結果として融資に不利となります。
これを防ぐには、運転資本(売掛金、買掛金、在庫など)の管理を徹底し、現金の流れを正確に把握することが不可欠です。
また、短期的な資金需要に対する柔軟な予算計画を立て、現金同等物の管理も慎重に行う必要があります。

融資審査で有利な決算書の特徴

連続した増益を示すこと

銀行が重視するのは、企業の一時的な業績ではなく、安定した収益の継続性です。
過去数年間にわたり連続して増益を記録していることは、企業が健全な事業モデルを有し、市場環境の変動に対しても柔軟に対応できることを意味します。
また、増益傾向が続いている企業は、内部留保を蓄積しやすく、将来の返済原資を確保しやすいと判断されます。
特に、経常利益や営業利益が安定して成長している場合は、企業の本業が堅調である証として強く評価されます。

低い借入金比率を維持する

企業が高い借入比率を維持している場合、それだけで銀行は融資リスクを高く見積もります。
特に、自己資本比率が低い企業は、資金繰り悪化や業績不振により返済が滞る可能性があると見なされがちです。
したがって、銀行融資を受けやすくするためには、可能な限り自己資本を積み増し、借入依存体質からの脱却を目指す必要があります。
内部留保の活用や増資、利益剰余金の充実などにより、財務基盤を強化することが求められます。

適切な備考欄の活用方法

決算書の備考欄は、財務諸表の数値だけでは伝えきれない情報を補足する場として非常に重要です。
たとえば、減価償却方法の変更、新規事業の開始、取引先の変更、訴訟リスクの存在、将来の設備投資計画など、将来的に財務に影響を与える可能性のある事項を詳細に記載することで、銀行に対して透明性の高い情報開示を行うことができます。
これにより、企業の信頼性が高まり、融資に対する心理的ハードルが下がることが期待されます。

決算書準備時の重要なポイント

正確な数字を記載する必要性

決算書に記載する数字の正確性は、企業の信頼性を左右する最も基本的な要素です。
故意または過失による誤記や虚偽記載は、融資審査だけでなく、将来的な税務調査や法的トラブルの原因にもなりかねません。
したがって、会計帳簿との整合性を保ちつつ、数字の根拠を明確にすることが重要です。
また、各勘定科目の内訳や変動要因を適切に把握し、説明できる体制を整えておくことも重要です。

会計基準に準拠した記述を心掛ける

日本の中小企業にIFRS(国際会計基準)の適用は法的に求められていません。
日本ではIFRSの適用は一部の上場会社等で“任意適用制度”として位置づけられており、中小企業は『中小企業の会計に関する基本要領(中小会計要領)』や日本基準に基づく簡便な実務での作成が広く想定されています。
とくに、海外展開を視野に入れている企業や外資系金融機関との取引を行う企業は、国際的に通用する会計書類を準備することが必要です。
標準的な会計基準に沿って決算書を作成することで、第三者による評価が容易になり、信頼性が大きく向上します。

監査済み決算書の重要性

公認会計士や監査法人による監査を受けた決算書は、金融機関にとって信頼性が非常に高いと評価されます。
監査(公認会計士・監査法人による会計監査)が法的に義務づけられるのは、上場会社などに加え、会社法上の『大会社』(資本金5億円以上又は負債総額200億円以上)などに限られます。
多くの中小・中堅企業には監査義務はありません。銀行が個別の審査で監査済み決算書を求める場合はありますが、一般に“中規模以上は融資の前提として必須”とまでは言えません。

監査を受けることで、財務の透明性や内部統制の適正性が確認され、結果として企業の評価が向上しやすくなります。
これは、単に融資を受けやすくするだけでなく、取引先や投資家からの信頼にもつながる重要な要素です。

融資を成功させるための戦略

信用情報のクリアな状態を保つ

企業の信用情報は、融資審査におけるもう一つの大きな判断材料です。
信用情報には、過去の借入履歴や返済状況、債務不履行の有無などが記録されています。
これらに遅延や未払いがあると、銀行からの信用が著しく損なわれるため、信用情報の定期的なチェックと、取引先との信頼ある取引の継続が求められます。
信用調査会社(たとえば東京商工リサーチや帝国データバンク)に対する情報提供も透明に行うべきです。

事業計画書との整合性を保つ

決算書と事業計画書の内容に矛盾がある場合、銀行は企業の経営方針に対して疑念を持つ可能性があります。
たとえば、売上予測が大幅に成長しているにもかかわらず、過去の業績が伴っていない場合、実現可能性が疑われます。
したがって、過去の決算実績を踏まえた現実的な予測を事業計画に反映させるとともに、その成長の根拠(新規契約、マーケットシェアの拡大、販路の拡充など)を明確に記載することが必要です。

過去の融資実績をアピールする

過去に受けた融資について、返済遅延が一度もなく、計画通りに完済している実績は、新たな融資を受ける際の強力な信頼材料となります。
特に同じ金融機関との取引履歴が長く、かつ良好であれば、担当者の評価も高まり、金利や融資枠などの条件面でも有利に働く可能性があります。
このような実績は、決算書だけでは伝えきれない部分でもあるため、融資交渉時には積極的に資料として提示すべきです。

まとめ

この記事では、銀行からの融資を受ける際に、決算書がどのように影響するのか、そしてどのようにしてその内容を最適化すればよいのかについて、多角的に解説しました。
資産と負債のバランスを見直すこと、収益性を高める努力を継続すること、キャッシュフローを正確に記録することなど、基本的な財務管理の積み重ねが融資成功の鍵を握ります。
また、安定した業績の継続や、自己資本比率の向上、適切な情報開示も審査において強いプラス要素となります。
さらに、信用情報の整備や事業計画との整合性の確保、過去の融資実績の提示といった戦略的な取り組みにより、融資の承認率は飛躍的に向上するでしょう。
本記事の内容を参考に、今後の融資申請に備え、より強固な財務体制の構築を目指していただければ幸いです。

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