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事業承継の税金対策を解説!費用・手順・リスクを抑える方法 | 千葉かつこ税理士事務所|埼玉県の会計・税務申告・リスクマネジメント業務
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事業承継の税金対策を解説!費用・手順・リスクを抑える方法

事業承継の税金対策を解説!費用・手順・リスクを抑える方法

事業承継は、企業の永続的な存続と更なる発展にとって避けては通れない経営上の重要課題であり、同時に相続税や贈与税といった極めて複雑な税金問題を伴います。
後継者への円滑なバトンタッチと、事業価値の維持向上を実現するためには、早期の段階から専門家を交えた綿密な税金対策を計画的に講じておく必要があります。
今回は、事業承継の過程で発生する可能性のある税金の種類を具体的に挙げ、それぞれの効果的な対策、個々の企業状況に応じた最適な対策の選び方、実行に移す際の具体的な手順、そしてそれに伴う費用と潜在的なリスクについて、詳細にわたって解説します。

事業承継で発生する税金の種類とそれぞれの対策

相続税への対策:生前贈与と生命保険の活用

事業承継において、特に親族内承継の場合、先代経営者の死去に伴って発生する相続税は、後継者にとって非常に大きな経済的負担となる可能性があります。
効果的な相続税対策としては、相続財産そのものを計画的に減らしていく、生前贈与による資産の移転が有効な手段の一つです。
贈与税の基礎控除額や各種特例制度を十分に考慮しながら、複数年にわたって段階的に自社株式や事業用資産を後継者に移転することで、将来発生するであろう相続時の税負担を大幅に軽減できます。
また、経営者を被保険者、後継者を受取人とする生命保険に加入し、その死亡保険金を活用することで、相続税の納税資金や代償分割のための資金を確実に確保することも可能です。
ただし、生前贈与を行う際には、その都度、贈与税の申告が必要となるケースがあり、生命保険の活用には継続的な保険料の負担が発生するという点を十分に考慮する必要があります。
どの財産をいつ贈与するかの判断、贈与財産(特に非上場株式)の正確な評価、複雑な贈与税の計算、そして企業の状況に最も適した生命保険の種類の選定など、極めて専門的な知識が求められるため、税理士等の専門家から具体的なアドバイスを受けることが成功の鍵となります。

贈与税への対策:暦年贈与と相続時精算課税制度の活用

相続税と並んで、生前の資産移転に伴う贈与税も、事業承継を考える上で避けて通れない重要な税金です。
代表的な贈与税対策としては、年間110万円までであれば贈与税が課されない「暦年贈与」の非課税枠を最大限に有効活用することが考えられます。
この制度を毎年継続して利用することで、非課税で着実に後継者へ資産を移転させることが可能です。
また、より早期にまとまった規模の財産(自社株式など)を後継者に移転させたい場合には、「相続時精算課税制度」を利用することで、2,500万円までの贈与については特別控除が適用され、それを超える部分についても一律20%の税率で済み、生前に贈与した財産について相続発生時に一括して精算し、税負担をコントロールすることも選択肢となります。
暦年贈与を有効に活用するためには、毎年の贈与契約書の作成など、贈与の事実を証明できる記録を確実に管理する必要があり、相続時精算課税制度の利用には、贈与者と受贈者の年齢や関係性といった一定の適用条件を満たさなければなりません。
これらの制度は選択を誤るとかえって不利になる場合もあるため、どちらの制度が自社の状況に適しているかについては、専門家による客観的かつ適切なアドバイスに基づいて判断することが不可欠です。

納税猶予制度の活用による納税負担の軽減

後継者が承継した自社株式の評価額が非常に高額となり、事業承継に伴う相続税の納税資金を自己資金で確保することが著しく困難な場合があります。
そのような状況に陥った場合、相続税・贈与税の納税猶予制度の活用が極めて有効な選択肢となります。
この制度を利用することで、一定の要件のもと、承継した非上場株式等に係る相続税の納税を長期間にわたって猶予することが認められ、事業の継続に必要な運転資金を確保しながら、段階的に納税を進めることが可能になります。
ただし、この制度の適用を受けると、猶予期間中は年率に応じた利子税を納付する必要があり、納税が猶予される税額に見合う担保の提供が求められる場合もあります。
したがって、猶予期間中における事業の経営状況や将来の資金繰り計画を事前に綿密に立て、安定した事業運営が見込めることが前提となります。

事業承継税制の特例による税負担の軽減

事業承継税制(正式名称:非上場株式等についての相続税及び贈与税の納税猶予及び免除の特例等)は、後継者不足に悩む中小企業の円滑な事業承継を国が促進するために設けられた、非常に強力な税制上の優遇措置です。
一定の要件を満たすことで利用できるこの特例制度は、後継者が取得した非上場株式等に係る相続税や贈与税の納税が100%猶予され、さらに将来、次の後継者へ事業承継するなどの要件を満たした場合には、猶予されていた税額が最終的に免除されるという大きなメリットがあります。
ただし、この特例の適用を受けるためには、先代経営者、後継者、そして対象となる会社自身が、それぞれ定められた複数の厳しい適用条件をすべて満たす必要があります。
具体的な条件には、会社の資産構成や従業員数などの規模、事業内容、後継者の役員就任期間や議決権保有割合などがあり、その内容は非常に複雑で多岐にわたります。

事業承継に最適な税金対策の選び方

会社の規模や事業内容に合った対策の選択

事業承継における最適な税金対策の組み合わせは、一つとして同じものはなく、それぞれの会社の規模、営んでいる事業内容、保有している財産の状況などによって大きく異なります。
例えば、従業員数が多く、売上規模の大きい大企業と、地域に根差した中小企業とでは、利用できる税制上の制度や受けられる優遇措置が根本的に異なるため、それぞれの企業の個別具体的な状況に最も適した対策を慎重に選択する必要があります。
特に、株式が市場で取引されている上場企業においては、株価の算定方法や法規制が非上場企業とは全く異なるため、より専門的で複雑な対策が必要となるでしょう。

後継者の状況と経営方針の考慮

後継者の年齢、これまでの業務経験、そして経営者としての能力や資質なども、採用すべき税金対策の選択に重大な影響を与えます。
後継者が持つ能力や、これから会社をどのように導いていきたいかという経営方針を十分に考慮し、事業承継後の経営体制の安定性を最優先で確保できるような対策を選ぶことが極めて重要です。
例えば、後継者がまだ若く、経営者としての経験が不足している場合には、一気に全ての経営権を移譲するのではなく、数年かけて段階的に株式を移転させながら経営への関与を深めていくといった、時間軸を意識した事業承継を検討する必要があるかもしれません。

事業承継税制の適用条件の確認

メリットの大きい事業承継税制の特例を活用するためには、その適用条件を一つひとつ満たしているかどうかを事前に詳細に確認する作業が非常に重要となります。
万が一、申請後に適用条件を満たしていないことが判明した場合は、期待していた税制上の優遇措置を一切受けることができず、計画が根本から覆る事態になりかねません。
そのため、認定経営革新等支援機関の助言を受けながら、事前にすべての条件を十分に確認し、もし満たしていない項目があれば、適用可能となるように改善策を講じるなど、専門家のアドバイスを受けながら周到に準備を進める必要があります。

専門家への相談による最適な対策の検討

事業承継は、法務、税務、財務など様々な分野が複雑に絡み合う問題であり、税金対策についても高度な専門知識と豊富な実務経験が必要となります。
事業承継に精通した税理士や弁護士、公認会計士などの専門家に早期に相談することで、自社の現状を客観的に分析してもらい、最も効果的でリスクの少ない税金対策を総合的に検討することができます。
経験豊富な専門家は、個々の企業の状況を深く理解し、法律や税制の最新情報を踏まえた上で、実現可能な最適な対策を具体的に提案してくれます。

事業承継税金対策の手順

事業承継計画の作成

全ての準備の第一歩として、具体的で詳細な事業承継計画を作成することが何よりも重要です。
この計画書には、後継者は誰か、承継の具体的な時期、株式や経営権の承継方法、承継後のビジョンや経営計画、そして今回主題となっている税金対策の具体的なプランなどが網羅的に盛り込まれます。
具体的かつ実現可能な計画を時間をかけて綿密に立てることが、その後のプロセスを迷いなく進め、スムーズな事業承継を実現するための羅針盤となります。

専門家チームの選定

税理士、弁護士、公認会計士といった各分野の専門家を選定し、それぞれの知見を結集した専門家チームを組成して、互いに連携しながら事業承継を進めることが成功の鍵を握ります。
それぞれの専門家が持つ独自の視点や知識を活かすことで、単独では見落としがちなリスクを回避し、より多角的で効果的な税金対策を実行することができます。
プロジェクトを円滑に進めるためには、専門家との間に強固な信頼関係を構築し、定期的に進捗を確認するなど、密にコミュニケーションをとることが不可欠です。

必要書類の準備と手続き

事業承継を実際に行う際には、法務局や税務署などへの提出を含め、膨大で多種多様な書類の準備と複雑な手続きが必ず必要となります。
相続税申告書や贈与税申告書はもちろんのこと、株式譲渡契約書や事業承継契約書、株主総会議事録など、必要な書類をリストアップし、一つも漏れなく準備して、定められた期限内に手続きをスムーズに進める必要があります。
手続きに不備があると承継そのものが遅延する可能性があるため、専門家の指導と確認に従って着実に進めることで、人的なミスを最小限に減らすことができます。

関係者との連携

事業承継のプロセスには、経営者や後継者だけでなく、非常に多くの関係者が直接的、間接的に関わってきます。
後継者以外の家族や親族、長年会社を支えてくれた従業員、主要な取引先、そして融資を受けている金融機関など、様々なステークホルダーとの連携を密にし、理解と協力を得ることが、円滑な事業承継を進める上で極めて重要です。
特に、他の相続人との間で将来的なトラブルを避けるため、家族間の十分な話し合いによる合意形成は、何よりも優先して行うべき事項です。

事業承継税金対策の費用とリスクそして相談先

税理士や弁護士への相談費用

事業承継に関して税理士や弁護士などの専門家に相談や業務を依頼する際には、当然ながら相談料やコンサルティング費用が発生します。
相談内容は企業の状況によって複雑で多岐にわたるため、それに伴う費用もケースバイケースで大きく変動するのが一般的です。
トラブルを避けるためにも、正式に依頼する前に、業務の範囲とそれに対する報酬体系について明確な見積もりを提示してもらい、十分に納得した上で契約することが重要です。

手続きに必要な登録免許税などの費用

事業承継の各種手続きを進める上では、専門家への報酬とは別に、不動産の名義変更に伴う登録免許税や、株式譲渡の手続きに関する手数料など、様々な実費が発生します。
これらの付随的な費用も、計画段階で事前に概算額を把握しておき、資金計画に組み込んでおく必要があります。

税務調査のリスクと対応策

事業承継のように大きな財産が動く際には、後日、税務署による税務調査を受けるリスクが常に伴います。
特に、非上場株式の財産評価の妥当性や、過去の贈与の事実関係などが調査の主要なポイントとなりやすいため、税務調査が行われる可能性に備え、事前に想定される税務上のリスクを専門家と共に洗い出し、十分な説明責任を果たせるよう、根拠資料を整理しておくなどの対応策を講じておく必要があります。

事業承継税制の適用要件を満たせないリスク

大きな節税効果が期待できる事業承継税制ですが、その適用要件を承継後も継続して満たし続けなければならないというリスクも存在します。
例えば、承継後の経営状況が悪化し、雇用維持要件を満たせなくなった場合などには、猶予されていた税額の全額または一部と利子税を、一括で納付しなければならないという厳しいペナルティが課される可能性があります。
したがって、特例の適用を受けるだけでなく、その後の経営においても適用要件を遵守し続けられるよう、事業計画を慎重に進めることが重要です。

まとめ

企業の未来を左右する事業承継における税金対策は、相続税、贈与税、そして特例措置である事業承継税制など、検討すべき項目が多岐にわたります。
それぞれの税金対策には、計画的な生前贈与、納税資金を確保するための生命保険の活用、毎年コツコツと資産を移転する暦年贈与、早期にまとまった財産を移す相続時精算課税制度、そして納税を先延ばしにする納税猶予制度など、企業の状況に応じて選択すべき様々な選択肢が存在します。
自社にとって真に最適な対策を選択するためには、会社の規模や事業の将来性、後継者の能力や意欲、そして今後の経営方針などを総合的に考慮した上で、事業承継に精通した専門家から客観的なアドバイスを受けることが不可欠であると言えるでしょう。
経営者が元気なうちから、具体的で綿密な事業承継計画の作成に着手し、信頼できる専門家チームと強固な連携体制を築き、必要となる書類の準備や法的な手続きを計画的に進め、そして全ての関係者との良好なコミュニケーションを保ち続けることを通じて、税負担を適正化し、スムーズで企業の未来に繋がる事業承継を実現することが何よりも重要です。

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