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相続税の節税対策の種類と手続き費用は?メリットデメリットを解説 | 千葉かつこ税理士事務所|埼玉県の会計・税務申告・リスクマネジメント業務
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相続税の節税対策の種類と手続き費用は?メリットデメリットを解説

相続税の節税対策の種類と手続き費用は?メリットデメリットを解説

相続税対策は、多くのご家庭にとって複雑で難解な問題です。
平成27年の税制改正で基礎控除額が引き下げられて以来、これまで無関係だと思っていた一般家庭にも相続税が課税されるケースが増えています。
大切な財産を次世代へ円滑に承継し、莫大な相続税の負担を少しでも軽減したいと考えるのは当然のことでしょう。
今回は、相続税の代表的な節税対策として考えられる主な方法、それぞれの手続きや費用、そしてメリット・デメリットをより具体的に解説します。

相続税の節税対策の種類

生前贈与で相続財産を減らす方法

相続税を軽減するための最も基本的で効果的な方法として、生前贈与があります。
これは、被相続人が存命中に、将来相続人となる子や孫などに計画的に財産を贈与することで、相続発生時の財産総額を減らし、相続税の課税対象額を直接的に圧縮する方法です。
贈与額によっては贈与税がかかりますが、暦年贈与の基礎控除(年間110万円)などを活用し、長期的な計画のもとで手続きを行うことで、結果的に相続税よりも低い税負担で財産を移転させることが期待できます。
ただし、2024年からの税制改正により、相続開始前7年以内の贈与は相続財産に持ち戻されることになったため、より早期からの対策が重要性を増しています。

生命保険を活用して非課税枠を使う方法

生命保険金には、「500万円 × 法定相続人の数」で計算される金額までは相続税が非課税となる特例があります。
被相続人が自身を被保険者として生命保険に加入し、受取人を相続人に指定しておくことで、この非課税枠を活用して相続税の負担を軽減できます。
また、生命保険金は受取人固有の財産とみなされるため、遺産分割協議の対象外となり、他の相続人の同意なしで速やかに受け取れます。
これにより、葬儀費用や納税資金など、急な出費にも対応しやすいという大きなメリットがあります。
ただし、契約者、被保険者、受取人の設定によっては贈与税や所得税の対象となる場合があるため、契約内容の確認が不可欠です。

配偶者控除で相続税を軽減する方法

「配偶者の税額の軽減」という制度により、配偶者が相続した財産のうち、「法定相続分」または「1億6,000万円」のいずれか多い金額までは相続税がかかりません。
この控除を最大限に活用することで、一次相続(例えば夫が亡くなり妻が相続するケース)における相続税額を大幅に、あるいはゼロにまで軽減できます。
ただし、この控除の適用には、戸籍上の配偶者であることや、相続税の申告を行うことなどの条件があります。
また、一次相続で配偶者に財産を集中させすぎると、二次相続(残された妻が亡くなった際)で子の税負担が重くなる可能性があるため、二次相続まで見据えた総合的な判断が重要です。

小規模宅地等の特例で土地の評価額を下げる方法

被相続人が居住していた土地や事業を営んでいた土地を相続した場合、「小規模宅地等の特例」を活用することで、その土地の評価額を最大で80%減額し、相続税の負担を劇的に軽減できる可能性があります。
この特例は、相続税対策の中でも特に節税効果が非常に大きいものの一つです。
例えば、5,000万円と評価された自宅の土地に適用できれば、評価額を1,000万円まで圧縮できます。
ただし、適用を受けるためには、同居していた親族が相続することや、事業を引き続き営むことなど、非常に厳格な要件が定められており、一つでも満たせないと適用できないため、事前に詳細な確認が必須です。

相続税の節税対策それぞれの手続きはどうするの?

生前贈与の手続きと必要書類

年間110万円を超える生前贈与を行った場合、贈与を受けた側は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、贈与税の申告と納税を行う必要があります。
申告には贈与税申告書が必要ですが、贈与の事実を客観的に証明するため、別途「贈与契約書」を作成し、銀行振込で資金を移動するなど、記録を残しておくことが非常に重要です。
手続きは、受贈者(もらった人)の住所地を管轄する税務署で行います。

生命保険の加入と指定の手続き

生命保険への加入は、保険会社の営業担当者や保険代理店を通じて行います。
相続税対策として活用する場合は、契約時に保険金受取人を特定の相続人(例えば配偶者や子)に明確に指定する手続きが不可欠です。
もし受取人を指定し忘れたり、「法定相続人」と曖昧に記載したりすると、相続人全員の共有財産となり、遺産分割協議が必要になるなど、手続きが煩雑になるため注意が必要です。

配偶者控除の適用を受けるための手続き

配偶者控除の適用を受けるためには、控除によって納税額がゼロになる場合であっても、必ず相続税の申告期限内(相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内)に相続税の申告書を税務署に提出する必要があります。
申告書には、戸籍謄本や遺言書の写し、遺産分割協議書の写しなど、控除の適用要件を満たすことを証明する書類を添付します。

小規模宅地等の特例を受けるための申請方法

小規模宅地等の特例を受けるためにも、相続税の申告が必須となります。特例を適用した結果、納税額がゼロになるとしても申告は省略できません。
相続税申告書に、この特例の適用を受けたい旨を記載し、住民票の写しや事業を営んでいたことを証明する書類など、適用要件を満たしていることを証明するための様々な添付書類と共に提出する必要があります。

相続税の節税対策費用とメリットデメリット

生前贈与にかかる費用と贈与税の注意点

生前贈与は、年間110万円の基礎控除額を超えた部分に対して贈与税が発生します。税率は相続税よりも高く設定されていますが、少額を長年にわたって贈与することで、トータルの税負担を抑えられます。
メリットは、渡したい相手に、渡したいタイミングで確実に財産を移転できる点です。
デメリットは、不動産を贈与した場合、相続時に比べて登録免許税や不動産取得税が高額になる点です。

生命保険料控除と保険金受取のメリットデメリット

生命保険料控除は所得税の制度ですが、相続税対策としての生命保険のメリットは、非課税枠が利用できること、納税資金を現金で確保できること、そして遺産分割の対象外であるため「争族」対策にもなることです。
デメリットとしては、保障が続く限り保険料の支払いという経済的な負担が発生することや、途中で解約すると払込保険料を下回る金額しか戻ってこない可能性があることが挙げられます。

配偶者控除のメリットと適用条件

配偶者控除の最大のメリットは、1億6,000万円という非常に大きな控除枠により、多くの場合で一次相続の相続税負担をなくせることです。
適用条件は、法律上の婚姻関係にある配偶者であること、そして相続税の申告を行うことです。
ただし、二次相続まで見据えずに安易に全財産を配偶者に相続させると、結果的に子世代の税負担が過大になるリスクがある点には注意が必要です。

小規模宅地等の特例のメリットと適用要件

小規模宅地等の特例のメリットは、なんといっても土地の評価額を最大80%も減額できるという絶大な節税効果です。
適用要件は、その土地の種類(居住用、事業用など)や相続する人との関係性によって細かく定められています。
この要件は非常に複雑かつ厳格で、相続が発生してからでは対策が間に合わない場合も多いため、生前からの確認と準備が不可欠です。

相続税の節税対策の選び方

相続財産の規模に合わせた対策

相続財産の総額が基礎控除を少し超える程度であれば、配偶者控除や小規模宅地等の特例だけで十分な場合があります。
一方、財産規模が大きい場合は、暦年贈与や生命保険の活用を長期間にわたって組み合わせるなど、複数の対策を計画的に実行していく必要があります。

家族構成に合わせた対策

最適な節税対策は、家族構成によって大きく異なります。
例えば、子や孫が多い場合は、暦年贈与の基礎控除枠(1人あたり年間110万円)を多人数分活用できるため、生前贈与が非常に有効です。
事業を営んでいて後継者がいる場合は、事業用の土地に小規模宅地等の特例を適用させることが最優先の課題となります。

将来設計に合わせた対策

節税だけを考えて過度な生前贈与を行った結果、ご自身の老後の生活資金が不足してしまっては本末転倒です。
ご自身の将来の生活設計や必要資金を十分に考慮した上で、無理のない範囲で実行できる節税対策を選ぶことが大切です。

まとめ

今回は、相続税の代表的な節税対策として、生前贈与、生命保険の活用、配偶者控除、小規模宅地等の特例について、それぞれの手続き、費用、メリット・デメリットを解説しました。
最適な対策は、相続財産の規模、家族構成、ご自身の将来設計など、個々の状況によって千差万別です。
また、相続税対策は一朝一夕に効果が出るものではなく、長期的な視点で計画的に進めることが成功の鍵となります。
税法は改正されることも多いため、ご自身の判断だけで進めるのではなく、まずは相続に強い税理士などの専門家に相談し、現状を正確に把握した上で、ご自身の状況に合った適切な対策を選択することが何よりも重要です。

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